浴槽のひび割れは、経年劣化によるものと物理的な衝撃によるものに分けられます。ヌリバスには物理的な衝撃によるひび割れに関するご相談が大半をしめます。
当記事は浴槽のひび割れの原因、DIYによるひび割れ補修のステップ、補修業者の選び方や依頼時の注意点まで網羅的に紹介しております。
ひび割れの原因、浴槽の材質によってもDIYによる補修難易度が異なります。なので、ご自宅の浴槽の材質とひび割れの状態に合わせて、業者に依頼するかDIYで補修するか決めるのがオススメです。
浴槽ひび割れ(人工大理石浴槽)の施工動画もございます。作業工程のご参考にして下さい!。
浴槽のひび割れが発生する原因
原因 | 具体的な症状 |
---|---|
不適切な設置 | 特定の箇所に集中するクラックや変形。 |
物理的衝撃 | 表面に鋭い傷や明らかなクラックが見られる。 |
浴槽の不適切な設置
浴槽の不適切な設置は、構造的にな問題を生じます。つまり、不均一な圧力や歪みが、浴槽亀裂・ひび割れ原因になり得ます。現在の浴槽が不適切に設置されているかどうかを下記のチェックリストで確認しておきましょう。
- 水平と安定性: 浴槽が完全に水平に設置されているかを確認します。満杯時に水面が水平になっているか確認します。
- 浴槽の底部のサポートが十分か: 浴槽の底部には、均一なサポートが必要です。4つの角にサポートが均等にあるか確認します。
- 接続とシーリング: 配管接続部分がしっかりと締め付けられ、漏れがないかをチェックします。また、浴槽と壁の間のシーリングがしっかりと施されているかも重要です。シーリング材がすべての隙間を覆っていない場合、水が壁や床に浸透し、カビ被害の拡大につながります。
- 排水の流れ: 浴槽の排水がスムーズに行われるかを確認します。排水が遅い、または完全に排水されず相当な水が残る場合、設置に問題がある可能性があります。
- 騒音と振動: 浴槽を使用する際に異常な騒音(ギシギシやたたくような音:)や振動が発生する場合、これは設置が不安定かもしれません。
浴槽が剥き出しのまま置いてある場合、浴槽に水を満タンに入れると浴槽への負担が大きくなります。特に人工大理石浴槽といった高価な浴槽の場合、デザイン性の観点から、浴槽をそのままおくタイプがあります。こうしたケースは浴槽ひび割れを発生しやすいので注意が必要です。
浴槽への物理的衝撃
どのような浴槽も、強い物理的衝撃があれば浴槽亀裂、ひび割れの原因になります。特に重い物の落下や強い打撃により、ひび割れや傷が生じことがあります。
加えて、アクリルやFRP製の浴槽は衝撃に敏感です。FRP浴槽は最近の一般住宅においても多く導入されています。ですので、お子様のいるご家庭で、FRP浴槽のひび割れ相談が多いです。
経年劣化を早める原因
経年劣化を早める原因 | 具体的な症状 |
---|---|
急激な温度変化による伸縮 | 一定のパターンを持たないランダムな亀裂。 |
不適切な薬剤・洗剤の使用 | 洗剤や薬品による表面の変色やひび割れ。 |
満水時の状態で長時間放置 | 浴槽の底や壁に沿ったクラック、ひび割れの拡大。 |
長年の使用による経年劣化で、浴槽の材質が徐々に劣化することは免れませんが、下記の点に気を付けることで劣化を少しは遅らせることが可能です。
- 温度変化による伸縮に注意する: 熱いお湯と冷水の繰り返しの使用により、アクリルやFRP製の浴槽で材質が伸縮し、ひび割れが生じることがあります。
- 不適切な薬剤・洗剤使用: 一部の洗剤や薬品は浴槽の表面にダメージを与え、変色やひび割れを引き起こすことがあります。(避けるべき洗剤:強酸性、強アルカリ性の洗剤、塩素系漂白剤、アンモニアを含む洗剤)
- 長時間に及ぶ満水状態:浴槽を長時間、満水状態に保つことは浴槽の壁や底部に持続的な圧力をかけることになります。特に大きな浴槽の場合、水の重量が相当になり、これが材質の劣化やひび割れの原因となることがあります。
最後に不十分なメンテナンスは劣化を早める原因になります。
浴槽に汚れや石鹸カスが蓄積すると、化学的反応、表面の劣化、水分の保持による材質の膨張や変形、カビやバクテリアの成長などが原因で、浴槽の摩耗や腐食が進むことがあります。
これらは浴槽の表面を損傷させ、美観を損ない、さらに健康上のリスクも引き起こす可能性があるため、定期的な清掃とメンテナンスが重要です。
また、洗剤をきちんと洗い流すことも重要で、浴槽の表面に洗剤が残ることで浴槽の材質に悪影響をあたえ、ひび割れを拡大させる要因になるので注意が必要です。
浴槽ひび割れ補修をDIYで行う時のポイント
補修箇所にひび割れが発生している場合、DIYによる修理を行うのは非常に難しいです。具体的には、マスキングテープで補修箇所を限定する作業です。そもそも作業領域が狭いのと補修箇所が不自然にならないように均等に補修するのは至難の技です。複数箇所のひび割れがある場合は、DIYはやめておきましょう。
しかし、予算等の都合でどうしてもDIYで行う場合を想定して下記にて必要項目を紹介しております。
浴槽ひび割れ補修の材料と道具
浴槽を補修する際には、下記の材料と道具は必須となります。
- 補修キット: (エポキシ樹脂またはFRP修理キットなど)。
- 補修用のパテ(ひび割れ箇所を埋めたらパテで固める)
- サンダー
- サンドペーパー: 表面を滑らかにするため。※研磨器が合った方がベター
- シリコンオフ: 浴槽を清掃するための脱脂剤。
- マスキングテープ: 補修範囲を限定するため。
- 塗布用具: スプレーガンまたはブラシ。
- 保護用具: 手袋、マスク(最重要)、保護メガネ、タオル。
浴槽補修手順
- 内容物の確認: キットに含まれる全ての部品(エポキシ樹脂、硬化剤、混合容器、塗布用具など)が揃っていることを確認します。
- 下地処理:サンダーで浴槽ひび割れ部分を削り、エポキシパテが十分に密着するように下地調整を行います。
- 浴槽の脱脂: タオルかまたは布にシリコンオフで濡らして、浴槽を拭き取り、油分を除去します。ひび割れ部分をサンドペーパーでやすりがけし、滑らかにしておきます。※水分は浴槽塗装の敵なので、徹底的に水分、油分を除去しましょう。
- 補修材の混合: エポキシ樹脂、FRP補修剤、硬化剤等、キットの指示に従って適切な比率で混合します。
- 補修材の塗布: 混合した補修材(FRP補修→ガラスネットの順にしっかり補修箇所に詰めるのがおすすめ)をひび割れ部分に塗布します。このとき、ひび割れを完全に覆うようにし、表面が平らになるよう注意してください。
- パテで固める:補修剤による塗布が完了したら、パテで補修箇所を固めます
- 乾燥時間の確保: 補修材を塗布した後は、キットの指示にある時間だけ乾燥させます。この間、浴槽を使用しないようにしてください。
- 仕上げ作業: 完全に乾燥したら、必要に応じてサンドペーパーもしくは研磨器で再度表面をならし、滑らかにします。
- 最終的な清掃: 補修作業の後、浴槽を清掃してから使用します。
浴槽の材質に合った補修キット(エポキシ樹脂やFRP修理キットなど※FRPとパテをセットで使用すればどんな浴槽の補修にも応用できます)、サンドペーパーもしくは研磨器、シリコンオフ脱脂剤、マスキングテープ、スパチュラやブラシ、そして保護用具(手袋、マスク、保護メガネ)が必要です。
作業を始める前には、水気を飛ばし、脱脂剤で油分を取り除くことが重要です。これにより、補修材(プライマー)が浴槽表面にしっかりと密着します。ひび割れ部分はサンドペーパーでやすりがけして滑らかにし、塗布が容易になるようにします。
そして、補修材を混ぜる際は製品の指示に従い正確に行います。適切な比率で混合しないと、硬化が不十分になる可能性があります。マスキングテープで補修範囲を限定し、補修材を均一に塗布します。
補修が完了したら、サンドペーパーでや研磨器で再度表面を滑らかにし、清掃して仕上げます。補修作業は慎重に、補修キットの指示に従って行ってください。
安全上の注意点
- 換気を確保: 補修作業中は換気を良くし、有害な蒸気や粉塵の吸入を避けます。
- 保護用具の着用: 手袋(髪の毛や汚れの浴槽への付着も防ぐ)、マスク、保護メガネを着用し、皮膚や目、呼吸器の保護を徹底します。
- 火気厳禁: 可燃性の材料を使用する場合は、火気の使用を避けます。
ひび割れ補修後の使用までの時間
補修材が完全に硬化するまでの時間は製品により異なりますが、通常は24時間から48時間程度必要です。この期間中は浴槽を使用しないでください。完全に硬化したことを確認してからお風呂での使用が再開できます。
その他、浴槽のサビや穴の補修方法についてもまとめています。もしひび割れ、さび、穴あきの内、複数の問題がある場合でも、基本的な手順は同じです。下記の記事を参考にして下さい。
浴槽ひび割れ修理業者について
業者選びのポイントや相場とお見積り時点の注意点をまとめて紹介しています。
業者依頼をする際のプロセスをわかりやすくまとめています。
浴槽補修業者選びのポイント
浴槽補修の業者選びでは、まずその経験と専門知識を重視しましょう。豊かな経験と適正な知識を持つ業者は、あなたの浴槽の特性に合わせた最適な修理方法を提案できます。次に、評判と口コミを調べて、業者の信頼性と作業の質を見極めます。
また、業者が必要なライセンスを有し、保険に加入しているかを確かめることも大切です。これにより、万が一の事故や損害が発生した際にも安心できます。最後に、費用と作業内容の明確で詳細な見積もりを提供する業者を選びましょう。これは、予期せぬ追加料金なしで、安心して補修作業を進めることができるようにするためです。
費用の相場と見積もりの注意点
浴槽の材質 | 損傷の程度 | 費用の相場 |
---|---|---|
ホーロー浴槽 | 軽度 | 1万円〜5万円 |
ホーロー浴槽 | 重度 | 7万円〜15万円 |
人工大理石浴槽 | 軽度 | 7万円〜15万円 |
人工大理石浴槽 | 重度 | 20万円以上 |
FRP | 軽度 | 1万円〜5万円 |
FRP | 重度 | 8万円〜15万円 |
見積り時の注意点は下記がポイントとなります。
- 明確な見積り内訳: 費用が明確に記載されていることが重要です。見積もりに含まれない隠れた費用がないか確認し、必要であれば詳細を尋ねます。
- 追加費用の確認: 作業中に追加の修理が必要になる場合の費用についても事前に確認しておきましょう。
- 複数の見積もり: 複数の業者から見積もりを取り、比較することで、最適なサービスを適切な価格で選ぶことができます。
浴槽補修の費用相場は、浴槽の材質と損傷の程度によって大きく異なります。
一般的に、ホーロー浴槽、FRP浴槽の軽度の損傷は1万円から5万円程度で修理可能ですが、人工大理石浴槽や重度の損傷の場合は20万円近くかかることもあります。
見積もりを取る際には、材料費、労働費などの詳細な内訳を確認し、追加費用についても事前に把握しておくことが大切です。また、複数の業者から見積もりを取り、サービスと価格を比較することで、最適な業者を選ぶことができます。隠れた費用がないかを確認し、すべての疑問点をクリアにしてから作業を依頼することが重要です。
浴槽補修業者へ依頼し作業完了までの流れ
ステップ | 内容 |
---|---|
1. 業者のリサーチ | 評判、口コミ、ライセンスを確認する。 |
2. 見積もりの依頼 | 複数の業者に見積もりを依頼する。 |
3. 見積もりの比較・選定 | 提供された見積もりを比較し、業者を選ぶ。 |
4. 作業日程の決定 | 業者と作業日程を調整する。 |
5. 作業前の準備 | 浴槽の使用を控えるなどの準備をする。 |
6. 作業の実施 | 業者による補修作業を実施。 |
7. 作業の確認 | 補修後の浴槽の状態を確認する。 |
8. 支払い | 作業完了後、料金を支払う。 |
浴槽補修業者を選ぶ際、まずは評判や口コミを調べることから始めます。
次に、複数の業者から見積もりを取り、内容と費用を比較して最適な業者を選定します。そして、業者と作業日程を調整し、補修作業がスムーズに行えるように事前に浴槽の使用を控えるなどの準備を行います。
業者による作業が行われた後は、補修後の浴槽の状態を確認し、問題がなければ料金を支払います。このプロセスを通じて、浴槽は新たに修理され、再び安心して使用できるようになります。この流れを理解し、適切な準備を行うことで、補修作業をスムーズに進めることが可能です。
ユニットバスひび割れ補修の実例紹介!
東京都江戸川区築10年の一般住宅
子供がジャンプした時の衝撃に耐え切れずにひび割れてしまったケースです。一般住宅に広く普及している、FRP浴槽が最もこうしたひび割れのご相談をいただきます。こうしたバスタブのひび割れは水漏れやさらなる損傷のリスクを高めるため、修理は迅速かつ慎重に行われなければなりません。
人口大理石浴槽ひび割れ補修の実例紹介!
山梨県大月市20年目の浴槽
20年ほど前に購入した300万円の人工大理石浴槽。施工日数3日、施工金額30万円。
デザイン性の観点で、3階を浴室にするため、浴槽をそのまま設置したケース。そして、満水にして入浴することも多かったとのことです。浴槽の設置場所の関係で熱いお湯で入浴することが多く浴槽への継続的な負担が原因のケース。
お客様によると、最初は小さなひび割れだったが、浴槽の重さによって徐々に大きくなってしまったとのこと。
人工大理石浴槽の交換に200万円以上の費用を要するため浴槽補修・塗装のご依頼をいただきました。また、思い入れのある浴槽なので大事にしたいというお気持ちがあり、交換ではなく補修と浴槽塗装をご決断。
バスタブのひび割れは水漏れやさらなるひび割れの悪化を招きます。この人工大理石浴槽の補修作業は難易度が高いもので、補修箇所を慎重に見つけ出し、FRP、ステンレス版、パテによる補修をする必要がありました。特に材質が柔らかい浴槽補修は難しく、誤った補修をするとかえって状態が悪くなり得ますので、プロへの依頼をおすすめします。
浴槽ひび割れ補修後のメンテナンス
浴槽のひび割れ補修後のメンテナンスは、次のように行うことが重要です。
- 定期清掃: 週に一度は、柔らかい布やスポンジを使って、優しい洗剤で浴槽を洗いましょう。これにより、汚れが蓄積するのを防ぎます。
- 水分の除去: お風呂の使用後は、浴槽内の水をしっかり排水し、乾いた布で内部を拭き取ります。これはカビの発生を防ぎ、浴槽の材質を保護します。
- 定期チェック: 月に一度は、浴槽全体、特に補修した部分を慎重にチェックし、新しいひび割れがないか確認します。
- 化学製品の避ける: 強い酸性またはアルカリ性の洗剤、塩素系漂白剤の使用は避けてください。これらは浴槽にダメージを与える可能性があります。(オススメの洗剤は東邦 ウタマロクリーナー」)
- 負荷の管理: 重い物を浴槽の縁に置いたり、強い衝撃を与える行為は避けてください。
補修した浴槽を長持ちさせるには、これらのメンテナンスを定期的に行うことが大切です。
週に一度の清掃、使用後の乾燥、月に一度のチェックなどを心がけることで、浴槽は清潔で美しい状態を保ち、長く快適に使用できます。
また、適切な洗剤の選択と衝撃や重圧から守ることも、補修部分の保護に役立ちます。これらの簡単なケアで、浴槽は新しいような状態を長期間維持できます。
まとめ
まずは、現在の浴槽の状態を把握するところから始めてみて下さい。補修が必要な箇所の状態次第で、DIYでできる程度なのか、それとも業者に依頼しないとできないレベルなのか判断をするためにも浴槽補修業者に事前に見てもらうのもおすすめです。