下記の項目について、浴槽・浴室塗装専門家として10年の経験がある職人監修のもとまとめてみました。
そもそも、錆びにくくできている浴槽がなぜサビてしまうのか?
浴槽サビ補修をDIYで可能か?
DIYで補修するときには、どのような点を注意すれば良いのかといったことを網羅的にまとめています。ご自身で浴槽のサビを補修する時の参考になるかと思います。
浴槽サビの特徴とは
浴槽のタイプ | 材質 | サビやすさの特徴 |
---|---|---|
FRP(繊維強化プラスチック) | 合成樹脂とガラス繊維 | サビに強いが、金属部分(排水口がパッキンの劣化により錆びやすい)にはサビが生じることがある。 |
ステンレス製 | ステンレス鋼 | 水垢や汚れが付着した状態で放置するとサビの原因となる。 |
ホーロー製 | 鉄にガラス質の釉薬(ゆうやく)を焼き付けたもの | ガラス質の表面はサビに強いが、釉薬の割れや欠けからサビが生じることがある。循環アダプターのひび割れが原因でサビが悪化するケースが多い。 |
アクリル製 | アクリル樹脂 | 金属部分以外はサビにくいが、金属部分(排水口や金具など)にはサビが生じることがある。 |
鋳鉄製 | 鋳鉄 | 表面処理によってはサビにくいが、劣化するとサビやすくなる。特に古いタイプの鋳鉄浴槽は注意が必要。 |
まず浴槽の材質に関係なく、浴槽のサビの原因として多いのが循環アダプターのひび割れです。基本的に、FRP浴槽やステンレス浴槽、ホーロー浴槽は錆びにくくできていますが、循環アダプターの経年劣化によるひび割れでできたサビから、もらいサビという形で浴槽にサビが広がることが多いです。
また、FRP製の浴槽をお使いの場合、パッキンや排水口のような金属部品があると思いますが、これらが湿ったままになっていると、錆びることがあります。また、
それに、水道水に含まれるミネラルや塩素がこれらの金属部品に影響を与えることもあります。やはり、浴室は湿気が多い場所ですから、この湿気が金属部品に長く作用すると、やはり錆びやすくなってしまいます。
できれば塩素除去のシャワーヘッド(ミラブルがおすすめ)を使用することも検討しましょう。
そして、金属部品を清掃する際は、適切な方法と洗剤を使うことが大切です。不適切な清掃方法や洗剤を使うと、錆の原因になってしまうこともあるので気をつけてください。
特に、ハイター系の洗剤や漂白剤、「塩素系」と呼ばれる次亜塩素酸ナトリウムを含むものやスクラブ等が含まれる洗剤は浴槽の表面を傷つける可能性があるので注意が必要です。
ステンレス浴槽やひび割れがあるホーロー浴槽に使うと、表面の保護膜やガラス質の釉薬を傷つける可能性があります。
その結果、サビが生じる原因になることがあります。もし使用した場合には、しっかりと水で洗い流すことが重要です。
また、ホーロー浴槽のサビはひび割れ部分から広がるため、線上にサビが広がり見た目の印象が悪くなるので長期間お風呂を使用できていない方も多く悩まれている方も多いです。
浴槽サビの原因はもらいサビ?
現在では、浴室や浴槽は多くの場合、FRPなどの非金属素材でできているので、通常は錆びません。しかし、剃刀やヘアピンなどの金属製品は錆びることがあります。こうした金属製品が濡れた状態で放置されると、赤茶色の錆が浴槽や浴槽のパッキンに移ることがあります。
浴室で見られる浴槽のもらいサビは主に以下の二つの原因によって生じます。
まず、水道水に含まれる鉄分がサビとして付着すること、そして浴室内に残された金属製品がサビを生じさせることです。サビの色はその成分によって異なり、銅によると青緑色、アルミニウムが原因なら白色、そして鉄からなるサビは赤茶色になります。
金属が酸素と水と反応して酸化し、サビとなるわけですが、特に鉄は水と空気が結合すると水和酸化鉄が生じます。これが赤サビとして知られています。浴室は湿気が多いため、わずかな時間でもヘアピンなどを放置するだけで、もらいサビが生じやすくなります。
ホーロー浴槽サビ補修はDIYで可能?
ホーローの下の金属が露出している場合、最初にホーローを慎重に取り除きます。これにはコンクリート釘を使用し、ゆっくりと引っかいて除去するのが良いでしょう。その後、サンドペーパーで錆を取り除き、ホーロー補修材(溶剤型エポキシ樹脂がおすすめ)を使用して埋め戻します。
このステップを怠ると、錆が広がり浴槽のホーローが大きく剥がれる可能性があります。補修が広範囲に及ぶ場合は、エポキシ接着剤で埋めた後、ラッカースプレーで色を合わせる方法も有効です。
おすすめのパテは99工房の2液性エポキシパテになります。50グラムで1400円です。
鋳物製のホーローは厚みがあるため耐久性が高いですが、鉄板製の場合は20年を目途に交換を検討するのが良いでしょう。
最も適切な方法は、メーカーに連絡し、専用の補修材を取り寄せることです。また、冬季は低温で硬化が遅れるため、ヘアドライヤーで加温するか、暖かい時期に修理を行うことをお勧めします。さらに、傷がついて錆が発生した場合は、液体クレンザーできれいにし、透明なマニキュアで保護することで、さらなる損傷を防ぐことができます。
FRP浴槽サビ補修はDIYで可能?
市販の錆び取り剤、錆止め剤を塗って、FRPで腐食部をカバーをしてから、2液性エポキシパテで補修する流れになります。
補修箇所が比較的に小さい場合は、DIYでも可能ですが、排水溝のパッキンや金属製の部分のサビが深刻な場合やユニットバスの場合は難易度が高いので専門業者に依頼するのをおすすめします。
FRP(繊維強化プラスチック)はホームセンターやオンラインストアで購入することができます。FRPの補修材は通常、液体の樹脂と繊維のマットで構成されており以下の手順で使用されます。
準備:補修する浴槽の表面を清掃し、サンドペーパーで軽く研磨しておきます。これにより、FRP材がより良く密着します。
樹脂の混合:FRPキットに含まれる樹脂と硬化剤を指示に従って適切な比率で混合します。
繊維マットの適用:補修箇所に繊維マットを適用し、上から混合した樹脂を塗っていきます。これを必要な厚さになるまで繰り返します。繊維マットは、FRP(繊維強化プラスチック)修理や補修に使用される、繊維の網目状の素材です。通常、ガラス繊維やその他の合成繊維で作られています。
このマットは柔軟で、樹脂と組み合わせることで硬化し、補強された構造を形成します。具体的には、薄くて柔らかな布のような質感を持ち、繊維が無数に絡み合っている状態です。補修作業では、このマットを補修する箇所に合わせて切り、液体の樹脂と組み合わせて使用します。
硬化:樹脂が完全に硬化するまで待ちます。硬化時間は製品によって異なります。仕上げ:硬化後、必要に応じて表面を研磨し、滑らかに仕上げます。樹脂が硬化すると、マットは堅固な補強材となり、修理箇所の強度を高めます。
浴槽サビ補修の事例紹介
築30年以上のホーロー浴槽には、ひび割れや表面上の劣化がひどくなります。
特にひび割れなどを放っておくと、上の写真のようにひび割れたところからサビが浸食し、より浴槽へのダメージが広がることが多いです。
錆びている部分も含めて、浴槽全体を丁寧に研磨します。下地処理が浴槽塗装やサビ補修に最も重要です。
下地処理、プライマー塗布を繰り返し、最後に仕上塗料→クリア仕上により光沢感を出すことで新品同様の輝きに生まれ変わります。
まとめ
FRP浴槽やホーロー浴槽のサビの原因や、DIYでの補修方法をまとめてみました。ただ、あくまでもサビの状況が軽度のケースでのDIY補修をご紹介しました。
浴槽のサビがひどい、循環アダプターのひび割れからのサビやパッキンの劣化によるサビはDIYでの補修が難しいです。
DIY補修の前よりもひどい状況になるケースもみられ、最初から業者に依頼すればよかったと後悔する方も少なくありません。なので、まずはご自宅の浴槽の状況にあった補修方法を検討するところからはじめてみましょう。