近年、浴室リノベーションでご自宅の浴室をキレイにする方が増えています。

そんなとき、浴室壁塗装か浴槽塗装でキレイにするのか、全て新調するリノベーションを選ぶべきか悩んでいる方が多い印象です。

当記事では、浴室リノベーションのコスト比較(塗装or新しいものに交換)から、浴室壁塗装のDIY方法。そして、浴室壁塗装はDIYが良いのかプロへ依頼して塗装をするべきかどうか、迷っている方にお役に立てるようおまとめしています。

井上保
一級塗装技能士

10年以上にわたり、多くの方々から浴槽の塗り替えについての相談を受けてきました。多くの方が、「新品に交換するよりも、現在の家を大事にしたい」とおっしゃいます。そのような貴重なご意見は、私たちのサービス精神にも深く響いています。浴槽塗装を専門とする私たちは、お客様の期待に応えるため、技術の進歩に常に取り組んできました。目指すは、より多くのお客様に満足と喜びを提供すること。お客様一人ひとりとの深いつながりを価値あるものと考えています。

浴室塗装費用について

項目浴室壁塗装と浴槽塗装全パーツ新調リノベーション
壁塗装¥50,000〜¥80,000
浴槽塗装¥80,000〜¥120,000
浴室床材の適応¥20,000〜¥50,000
新浴槽の完全新調¥250,000〜¥1,000,000
新壁材の完全新調¥150,000〜¥300,000
床材の完全新調¥100,000〜¥250,000
総コスト¥150,000〜¥250,000¥500,000〜¥1,550,000
右にスライド可能

全て新しいモノに交換するケースで、ハイグレードのユニットバスの設置、断熱工事やシロアリ対策を同時に施工する場合、または浴室の移動、拡張、増設に伴う給排水やガスの工事が必要な場合には、費用が高くなることが考えられます。

元々の浴室の構造や浴槽タイプによっても予算が変動しやすいので見積もりが不透明で変動する傾向があるのは事実です。

また、ホーロー浴槽や人工大理石浴槽の場合、「追い焚き機能を後から追加すると高額になるので、この際全て新しく追い焚き機能も追加しましょう」といった提案がある関係で、最初のお見積もりから値段が高くなり費用も高額になる傾向があります。

一方で、浴室壁塗装や浴槽塗装はシンプルに既存の浴室の構造や浴槽タイプを活かしたリノベーションなので、お見積もりもシンプルで明快。そして、全て新しいものにする浴室リノベーションよりも費用が少ないです。

井上保さん
ヌリバス

ご予算に余裕がある方は、全て新しくする浴室リノベーションをお勧めします。一方で、ご予算や環境への配慮が気になる方には、塗装による浴室リノベーションをオススメしています。

浴室壁塗装はDIY可能?

井上保さん
ヌリバス

初心者の方が、浴室壁塗装をDIYする際に考慮すべき点をまとめてみました。以下の点を留意していただければ可能かと思います。

材料選び

浴室特有の高湿度と水気に耐えるために、適切な塗料の選定が重要です。一般的には、防カビ性能と防水性能を持つ専用の浴室塗料を使用する必要があります。塗料の種類にはエポキシ塗装、ウレタン樹脂塗料、アクリル樹脂塗料などがあり、特に2液性エポキシ塗料(溶剤性)の塗料による塗装が適しています。

下地処理

塗装の前には、壁の下地処理が必須です。古い塗膜の除去、壁面クリーニング(脱脂処理)、そして必要に応じてサンドペーパーなどでの下地修正が必要です。壁が湿っている場合は完全に乾燥させることが重要です。また、クラックや穴は専用の充填材でしっかりと修復する必要があります。

塗装技術

塗料の均一な塗布は、見た目だけでなく機能性を保つためにも重要です。ローラーやブラシを使い、均等に薄く何層にもわたって塗る技術が求められます。特に角の部分や継ぎ目の処理には細心の注意が必要で、塗装があまいと水漏れの原因となります。

浴室の通気性と乾燥

塗装後の乾燥プロセスは、塗装剥げを防止するために重要です。浴室は通常、換気が難しい場所であるため、適切な換気を確保しながら十分な乾燥時間を取る必要があります。適切に乾燥させないと、塗料が正しく硬化せず、塗装剥げの原因や防水性が低下します。なので、扇風機や遠赤外線ヒーターなどで強制乾燥をすることで比較的早く乾燥を促すのが良いです。

安全措置

塗料の化学物質には十分注意し、適切な換気と保護具(防毒マスク※特に大切、手袋、保護メガネ)の使用が必須です。特にうまく換気ができないような浴室は、健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、安全には最大限の配慮が大切です。

井上保さん
ヌリバス

DIYによる浴室壁塗装は可能だと思いますが、専門的な技術や道具が必要となるため、経験と知識が不足している場合はプロに依頼することをオススメします。

浴室壁塗装DIYのステップ

ステップ1: 材料と工具の準備

  1. 塗料選び:エポキシ樹脂塗料、防水性と防カビ性に優れた塗料を選びます。
  2. 工具準備
アイテム用途おおよその価格
エポキシ樹脂塗料壁塗装用、防水・防カビ性能が高い¥10,000〜¥15,000
水性塗料壁塗装用、環境に優しい¥8,000〜¥12,000
プライマー塗料の密着を向上させる下地処理用¥3,000〜¥5,000
ローラー塗料の均一な塗布に使用¥500〜¥1,000
ブラシ細かい部分の塗装に使用¥300〜¥800
塗料トレイローラー用の塗料を置くトレイ¥200〜¥500
マスキングテープ塗装しない部分を保護するため¥200〜¥500
防塵・防毒マスク塗料の有機溶剤から保護¥500〜¥250,000
保護手袋手を保護し、塗料が付着するのを防ぐ¥300〜¥800
合計¥22,000〜¥36,600
右にスライト可能

ステップ2: 下地処理

  1. 研磨&クリーニング:壁面のほこりや汚れ、旧塗膜を丁寧に研磨して除去します。特にカビや油分は塗料の密着を妨げるため、シリコンオフで脱脂処理をします。
  2. 補修:ひび割れや穴がある場合は、適切な充填材で修復します。完全に乾燥させることが重要です。
  3. サンディング調整:補修箇所の調整や壁面を紙やすりで全体的に軽く研磨することで、塗料の密着を向上させます。
井上保さん
ヌリバス

下地処理、下地調整が最も大切です。徹底的に研磨とクリーニングを行い、シリコンオフで脱脂処理を行います。

ステップ3: 塗装前の保護措置

  1. マスキング:塗装しない部分、例えば、浴槽、蛇口や金具などをマスキングテープで保護します。※シリコン樹脂塗料を浴室壁塗装に使用する場合、浴槽には塗布しないように細心の注意を払いましょう。シリコンが浴槽についてしまうと、浴槽塗装の塗装剥げにつながってしまいます。
  2. 換気:十分な換気を確保します。

ステップ4: 塗装

  1. プライマー塗布:プライマーを均一に塗布して下地を整えます。一度ではなく、プライマー塗布⇨乾燥⇨プライマー塗布を繰り返します。※プライマーが十分に乾燥してから、再度プライマー塗布することで上塗り塗料のノリが良くなり塗装剥げを防止できます。
  2. 上塗り:プライマーが乾燥した後、選んだ塗料を2〜3層、均等に薄く塗布します。各層は完全に乾燥させることが必要です。

ステップ5: 仕上げと乾燥

  1. 最終層の塗布:最後のクリア仕上を丁寧に塗り、滑らかな仕上がりを実現します。
  2. 完全乾燥:塗料の種類にもよりますが、塗料が完全に硬化するまで待ちます。※数日間はその場を使用しないことをオススメします。強制乾燥(遠赤外線等で強制乾燥させる場合は、数時間でも可能)

浴室壁塗装にオススメの塗料

エポキシ塗料

  • 特性: 水や化学物質に強い耐性を持ち、硬化すると非常に硬い表面を形成します。これにより、食品工場や病院など、清潔が求められる環境で使われています。さらに、優れた接着性を有しており、多様な材質にしっかりと固定することが可能です。
  • 利点: 耐水性と耐化学性が際立っているため、浴室壁の表面を水や洗剤などの化学物質から守ってくれます。硬化後の表面は非常に頑丈で、傷や損傷に対しても高い耐久性を発揮します。

ウレタン樹脂塗料

  • 特性: 耐久性に優れ、紫外線による色あせや劣化が少ないのが特徴です。また、柔軟性があり、温度変化による伸縮を吸収する能力が高いため、割れにくいです。
  • 利点: 長期間にわたって美観を維持できるため、洗面台のリフォームや塗り替えに最適です。また、伸縮性があるため、微細なひび割れから洗面台を守り、水漏れのリスクを低減します。

アクリル樹脂塗料

  • 特性: 速乾性があり、施工後すぐに硬化し始めるため、作業時間を短縮できます。また、色の種類が豊富で、高い光沢感を持つものが多いです。
  • 利点: 豊富な色彩から選べるため、洗面台を個性的なデザインのアクセントとして活用することができます。

プロが推奨するエポキシ塗料は、その卓越した性能で高く評価されています。エポキシ塗料は硬化すると非常に強固な保護層を形成し、水や化学薬品、物理的な摩擦からも表面を守ります。このため、湿度の高い環境での使用に最適であり、長期間にわたる使用が期待できます。

しかし、エポキシ塗料は速乾性が高く、硬化が早いため、塗装作業が難しくなるという側面もあります。早く固まる性質は、均一に塗布するのが難しくなり、DIYでは塗装のムラが出やすくなります。そのため、長期的な耐久性と引き換えに施工の難易度が上がるというデメリットがあります。

加えて、エポキシ塗料は専門の材料店や卸売店でのみ購入可能で、少量での購入が難しいことが多いです。高品質な溶剤系塗料は価格が高く、保管にも注意が必要です。これらの特性から、DIYに挑戦する場合にはエポキシ塗料は使用されることが少ないです。

一方、市販の水性塗料は、ホームセンターで容易に手に入り、使いやすさや環境に優しい点でDIY愛好家に人気があります。

しかし、水性塗料はエポキシ塗料と比較して耐久性や保護能力が劣ることもあるため、短期間で塗装剥げを起こし帰って見栄えが悪くなる方も多いです。DIYにより汚くなり、プロに補修を依頼したときには、旧塗膜を徹底的にとる手間がかかる分、費用が高くなります。

そして、塗装剥げを防ぎ長くキレイな状態を保ためには、プライマーから仕上げ塗料、クリア塗料に至るまで、最適な塗料を選ぶ必要があります。

井上保さん
ヌリバス

どの塗料を選ぶかは、浴室や浴槽の特性、溶剤系を適切に扱えるか、どれくらいキレイな状態で使えるのかを考慮をして、専門家のアドバイスを参考にしながら慎重に塗料を決めましょう。

浴室壁塗装が長持ちするためのコツ

1. 適切な塗料の選択

  • 専用塗料の使用: 浴室用に特化された防水性と防カビ性能を持つ塗料を選ぶことが重要です。特に、エポキシ樹脂塗料は、湿気や水に強く、カビの発生を抑制します。

2. 下地処理の徹底

  • 表面のクリーニング: 壁の表面を徹底的に脱脂処理し、油分を完全に除去します。これにより塗料の密着性が向上します。
  • 補修作業: ひび割れや穴があれば、適切な材料でしっかりと補修すること。塗装の均一性を保ち、長期的な耐久性高めてくれます。

3. 適正な塗装方法の適用

  • 均一な塗布: 塗料は均等に薄く数層にわたって塗ることが望ましいです。厚塗りは乾燥不良や剥がれの原因になることがあります。※プライマー、上塗り塗料を薄く数層に塗布
  • 乾燥時間の確保: 各層(プライマー、上塗り、クリア仕上)が完全に乾燥するまで待つことが重要です。急いで次の層を塗ると、塗膜の強度が低下します。

4. 適切な換気の確保

  • 塗装中の換気: 換気を行いながら塗装することで、塗膜の乾燥を早くする。
  • 長期的な湿度管理: 浴室を清潔に保ち、定期的に換気をすることで、壁面の湿度を管理し、塗膜の劣化を防ぎます。

5. 定期的なメンテナンス

  • 定期的な検査: 塗装面を定期的に検査し、小さな問題を早期に発見し対処します。これにより、大規模な補修が必要になる前に、小さな修正で済ませることができます。
  • クリーニング: 塗装面は定期的に優しい洗剤(ウタマロクリーナーがオススメ)と柔らかい布を使って清潔に保ちましょう。強い洗剤や硬いブラシの使用は避け、塗膜を傷つけないように注意が必要です

浴室壁塗装実例紹介

秋田県秋田市

一般住宅のお客様

浴槽塗装、浴室床材貼り付け、浴室壁塗装を実施。
施工期間:2日
タイル張り部分にも壁の色と同じ塗料を塗布、タイルへの塗装が剥がれないよう独自の塗装法にて施工。

秋田県大館市

一般住宅のお客様

浴槽塗装、浴室床材貼り付け、浴室壁塗装を実施。
施工期間:2日
タイル張り部分と壁の色を分けて、色のコントラストを出すことで自然な仕上に塗装。

山梨県甲府市

一般住宅のお客様
施工期間:1日
旧塗膜の徹底除去を行い、青と白のコントラストを際立てる特殊塗装による施工。浴室壁がタイル張りの部分への塗装なので、脱脂処理を徹底的に施した後に塗装。

まとめ

浴室壁塗装で費用もお安く、浴室を蘇らせることができます。塗料の選定や下地処理を徹底的に行うことで、DIYでもキレイにリノベーションできます。ただし、施工の際は、防毒マスクを用意し換気には十分に注意して下さい。