近年、FRPは特にユニットバスの分野で人気が高まっております。軽量で耐水性に優れた特性と特に経済的な住宅建設において好まれています。
今回は、FRP浴槽の利点、FRP浴槽の寿命とFRP浴槽の塗装、補修に関して網羅的にご紹介しております。
最後に、浴槽塗装業者の選び方に関してポイントをご紹介しています。
FRP浴槽の利点
利点 | 説明 |
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耐久性 | 繊維で強化されたプラスチックは、通常のプラスチックよりも耐久性が高く、10年から20年の寿命と言われております。 |
軽量性 | FRP素材は軽量であり、設置や移動が容易なので、浴室のリフォームや新設が比較的容易になります。 |
防水性 | FRPは高い防水性を持ち、水漏れや湿気による損傷のリスクが低くなります。 浴室のFRP素材は腐食しにくい性質を持っています。 |
カスタマイズの容易さ | FRPは成形が容易で、さまざまなデザインやサイズにカスタマイズできます。 浴室のスペースやスタイルに合わせた浴槽、浴室設計が可能です。 |
熱保持性 | FRP素材は熱を保持する能力が高く、お湯の温度が長持ちします。 |
メンテナンスのしやすさ | FRPは清掃が容易で、日常的なメンテナンスに多くの時間や労力を要しません。 また、表面が滑らかで汚れが付きにくいです。 |
コスト効率 | FRP製の浴室設備は、鋳鉄やアクリル製のものに比べてコスト効率が良く、初期投資を抑えることができます。 |
FRP浴槽とは「Fiber Reinforced Plastic」の略で、繊維強化プラスチック製の浴槽のことです。
FRPは成形がしやすいので浴槽のサイズ、カスタマイズの種類も豊富です。そもそもの浴槽代金もリーズナブルなので、FRP浴槽へ変える場合も新しく交換する場合も比較的経済的です。
そのため、近年はお手頃な価格で浴室リフォームをFRPで実現できるため多くの方にFRPは選ばれております。
しかし、ご予算との兼ね合いでどうしても浴槽交換ができない方も多いのも事実。そうした場合は、FRP浴槽塗装を次の選択肢として入れている方も多いです。
FRP浴槽の寿命は10年から20年
浴槽の種類 | 寿命 |
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鋳鉄浴槽 | 20年以上(多くの場合は30年から50年) |
ステンレス鋼浴槽 | 20年以上 |
アクリル浴槽 | 10年から15年 |
FRP浴槽 | 10年程度※メンテナンス次第で20年程度もつ |
ホーロー浴槽 | 20年から30年以上 |
人工大理石浴槽 | 10年から20年 |
加えて、FRP浴槽の寿命は10年程度と他浴槽と比較すると、耐久性は少し劣るものの、コストパフォーマンスが高い人気の浴槽です。
浴槽塗装や補修などの適切なメンテナンスを行うと、20年近く使用いただける場合もあります。
FRP浴槽塗装のメリットとは
カテゴリ | FRP浴槽塗装のメリット 詳細 |
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耐久性の向上 | 時間と共に劣化する浴槽の表面を強化し、長期間(5年以上)の使用を可能にする。 |
見た目の改善 | 色あせやキズ、穴、クラック等をカバーすることで、新品同様の外観を取り戻せる。 |
清掃の容易さ | 新しい塗装面は汚れが付きにくく、日々のお手入れが簡単になる。 |
コスト効率 | 新しい浴槽への交換よりも経済的(約1/3の費用)10万円前後。 |
浴室のFRP浴槽を交換となると、やすくとも30万円〜50万円はかかるでしょう。それに比べ、浴槽塗装は費用が10万円前後なので1/3以下に抑えることも可能です。
また、FRP浴槽塗装により浴槽の寿命を延ばすことが可能なので、20年近く使用することも可能です。適切なメンテナンスとしては最適です。
FRP浴槽塗装の費用とは
項目 | 説明 | 費用の目安 | 施工日数 |
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交換 | 古い浴槽を取り外し、新しい浴槽に完全に置き換える作業。大規模なリフォームになることが多い。 | 高額(30万円から150万円) | 数日から1週間 |
補修(FRPライニング) | 浴槽の傷んだ箇所にFRP素材の薄膜を当てて液状の樹脂を塗り、新しい層を合着させる。ひび割れや小さな穴の補修に適している。 | 中額(4万円から10万円) | 1~2日 |
塗装(再塗装) | 浴槽の表面に新しい塗料を塗り直す作業。表面の傷や色あせを修復し、見た目を改善する。 | 低額(10万円から15万円) | 1日 |
浴槽の状態や地域にもよりますが、FRP浴槽塗装の場合、費用の相場は10万円から15万円です。破格のお値段でサービス提供をしている業者は、おそらくプライマーと塗料の質がよくないか、経験が浅い可能性があります。実際の口コミを見て、特に3年〜5年以上使用しても塗装剥げを起こしていないかどうかは確認しておきましょう。
FRP浴槽塗装のデメリットとは
デメリット | 説明 | 対処法 |
---|---|---|
専門的な技術が必要 | FRP浴槽塗装は正確な技術と知識が必要。業者でも高度な技術を持つ人が少ない。外壁塗装業者が間違った方法で塗装すると、仕上がりが悪くなるだけでなく塗装剥げの可能性もあり。 | 熟練の浴槽塗装専門店に依頼する。 |
費用 | 費用がかかる。 | 予算が厳しい場合でも、DIYはおすすめしない。 |
浴室の使用制限 | 塗装中および乾燥中は浴室を使用できない。 | 施工日数が1日か2日の業者を選ぶ。 |
長期的なメンテナンス | 塗装は時間が経つと劣化し、再塗装が必要になることがある。 | 保証付の業者を選ぶ。 |
健康への影響 | 一部の塗料には有害な化学物質(シンナー)が含まれている場合があり、換気不足では健康に影響を与える可能性がある。 | 環境に優しい塗料を選び、適切な換気を行う。 |
FRP浴槽塗装のデメリットとして、最も気に留めておきたいのが「塗装剥げ」に関してです。浴槽塗装は外壁塗装業者には扱えないほど、高度な塗装技術が必要です。
そもそも塗装する対象となる素材が異なるので、塗料やプライマーも異なるのと工程もより繊細さを必要とします。ですので、DIYでFRP浴槽塗装はやめておくことをおすすめします。
あとは、施工期間中はお風呂が使えない点と塗装時の換気も大事なポイントです。DIYで行う時はもちろん、浴槽塗装専門店に依頼する時も高性能の業務用空気清浄機を使用する業者がおすすめです。
FRP塗装のプロセス
ステップ | 説明 | 必要な材料と道具 |
---|---|---|
1. 清掃 | 浴室のFRP表面を清掃し、汚れや油分を完全に取り除く。 | ・スポンジや柔らかい布 ・中性洗剤 ・シリコンオフ |
2. 表面の下処理 | 表面を軽く研磨して塗料の密着を良くする。さらに、表面を洗浄して塵や研磨剤の残留物を除去する。 | ・細かいサンドペーパ ・シリコンオフ |
3. 塗料の選択 | FRPに適した塗料を選択。高い接着性と耐久性を持つ塗料が望ましい。 | ・FRP専用塗料 ・プライマー |
4. 塗装 | 塗料を均一に塗布する。通常、複数の薄い層を塗り重ねることで最良の結果が得られる。 | ・スプレーガン ・刷毛(細部用) |
5. 乾燥と仕上げ | 塗装した表面を十分に乾燥させる。必要に応じて仕上げのコートを施す。 | ・換気扇やファン(乾燥加速用) ・クリアコート (仕上げ用) |
上記プロセスの中でも2番と3番が最も重要です。特に下地補修(クラック等の補修)、下地調整(研磨、脱脂清掃)は塗装剥げを防ぐために大切なプロセスで、丁寧で繊細な処理が必要です。
また、プライマーは塗料との接着を促進するためのものですが、プライマーと仕上塗料には相性があります。後述します浴槽塗装に相性の良い塗料選びも大切です。
しかしプライマーと仕上塗料の種類も豊富(30種類以上ある)なのと、プライマーと塗料の組み合わせは膨大なので浴槽専門店に依頼することをおすすめします。
また、コンプレッサー(スプレーガン)を使用した塗装は塗装剥げを防ぐためには必須ですので、浴槽塗装専門店は特殊で高性能なスプレーガンを使用しています。
こうした機材への初期投資代金を考えるとDIYは経済的ではありません。
FRP浴槽塗装の注意点と考慮すべきポイント
ポイント | 詳細 |
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耐久性 | |
品質の高い塗料の選択 | 長持ちする塗装のために、エポキシ樹脂塗料など水気が多い環境に適した塗料を使用する。 |
適切な下地処理 | 塗料の密着を高めるために、穴・クラック等の下地補修、清掃・脱脂・研磨(サンディング)下地調整は重要です。 |
見た目 | |
色と仕上がりの選択 | 部屋のデザインや個人の好みに合わせて、色と仕上がり(ツヤあり、マットなど)を選ぶ。ひび割れ補修などで補修箇所が目立たないように、補修キットで修理する。 |
均一な塗布 | はがれないようにするのムラやはがれがないようにはDIYでは非常に困難です。均一な塗布を実現するために専門の技術を持つ業者に依頼するのがベスト。 |
コスト | |
予算の設定 | 塗装にかかるコストを把握(DIYと業者への依頼の費用)し、事前に予算を設定する。 |
コストパフォーマンスの考慮 | 安価なオプションだけでなく、コストと品質のバランスを考慮し、長期的な視点でコストパフォーマンスの高い選択をする。 |
施工時の注意点 | |
換気を十分に行う | 特に2液性エポキシなど、溶剤塗料を使用する時は必ず換気をするように心がけましょう。防毒マスクで施工することはマストです。シンナー中毒で体調が悪くなる方も少なくありません。 |
安価な浴槽塗装は、安価なりの理由があります。それは塗料の質かもしれませんし、塗装経験が浅いのかもしれません。
浴槽塗装業者と言ってもピンキリで塗装剥げが頻繁に起きるので辞めていった同業者も多くいるのが実態です。
そして、外壁塗装とも技術は根本的に性質の異なるものですので、塗装業者と言っても外壁ではなく浴槽塗装専門でないと2年程度で塗装剥げが起きる可能性が高いです。
ですので、信頼のできる保証付の浴槽塗装専門店に依頼をしましょう。
FRP浴槽塗装の塗料の選び方とは
塗料の種類 | 特性 | 浴槽塗装における適用理由 |
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エポキシ樹脂塗料 | 高い耐水性と耐薬品性、硬化後は非常に強固 | 常に水と接触し、清掃剤などの薬品にもさらされる浴槽に対して、優れた耐久性と保護を提供 |
ウレタン樹脂塗料 | 耐久性と耐候性に優れ、美しい仕上がり | 長期間の使用に耐えつつ、浴槽の美観を保持するために適している |
アクリルウレタン塗料 | 良好な色彩と光沢、適度な耐久性 | 浴槽の塗装に使用可能(車の板金用に使用されるが)だが、特に耐水性や耐薬品性の面でエポキシや純ウレタン樹脂塗料に劣る可能性あり |
ラテックス塗料 | 水性で使いやすく、臭いが少ない、多用途に使用可能 | 一般的な家庭用途には適しているが、浴槽のような高い耐水性や耐薬品性が求められる環境には不向き |
油性塗料 | 高い耐久性と耐水性、深みのある色合い | 強い耐久性を求める用途に適しているが、浴槽のように頻繁に水と接触する環境では、適切な処理とメンテナンスが必要 |
ラテックス塗料と油性塗料は特定の用途には適していますが、浴槽のような特殊な条件下では、エポキシ樹脂塗料やウレタン樹脂塗料の方が適している場合が多いです。
また、ネット等では車用の塗料(アクリルウレタン塗料)をおすすめしていたりしますが、実際は耐水性や耐薬品性の観点から、エポキシや純ウレタン樹脂塗料が適しています。お住まいの住宅の浴槽に適した塗料を選択する時には、専門的な知識が必要になります。
加えて、塗料を塗る前のプライマーを丁寧に塗る工程や下地補修、下地調整は相当な技術が必要なので浴槽塗装専門店へのご依頼をおすすめします。
FRP浴槽塗装業者の選び方とチェックリスト
チェックポイント | 詳細 | 重要性 |
---|---|---|
浴槽塗装専門店としての経験 | 浴槽塗装に特化した専門知識と経験(3年以上は最低必要)の有無。 | 塗装剥げを防ぐために最も重要なチェック項目。 |
過去の実績 | 浴槽塗装の以前のプロジェクトとその結果。施工数や公共施設への塗装実績等。また、経歴に自動車塗料などがある業者も高い技術を持つ方が多いです。 | 質の高い仕上がりを期待できるかの指標。 |
評判と口コミ | 他の顧客からの評価、特にオンラインでの口コミ。 | 信頼性と顧客満足度を測る方法。 |
コストの明確さ | 見積もりの詳細と、追加費用の有無。 | 予算計画に役立つ情報。 |
レスポンス速度 | お見積りからの流れがから日程調整がスムーズか | コミュニケーションへの対応でもチェックするのは必要。 |
保証とアフターサービス | 作業後の保証範囲とフォローアップサービス。 | 5年の保証書等があり、品質保証と信頼性の確保。 |
使用する材料と技術 | 使用される塗料の種類(エポキシ樹脂塗料等)と塗装技術(スプレーガンでの塗装)。 | 長持ちする品質と美観を保証するため。 |
スケジュールと時間管理 | プロジェクトの時間管理と納期の順守。 | 効率的な作業と計画通りの完了のため。 |
基本的に、浴槽塗装専門店への依頼をする場合は相見積もりを行うことをおすすめします。つまり、複数の業者からお見積りをもらうことです。
なぜなら、業者ごとに推奨される材料や塗装方法が異なる場合があり、それらを比較することで、自分のニーズに最適な選択が可能なためです。
また、お見積り内容の明確さや金額比較、サービス内容を総合的に考えて判断をすると結果的に良質な専門業者へ依頼できるのでおすすめです。
FRP浴槽塗装の施工事例!
クリア仕上。東京都江戸川区・築10年
お子様が浴槽内でジャンプした影響で、浴槽の底にひび割れが生じてしまったケースでした。このように、FRP浴槽は物理的な衝撃に弱いのが特徴です。浴槽の補修に加え、優れた耐久性をもつエポキシ樹脂塗料を使用し浴槽塗装を実施しました。
浴槽塗装専門家によるFRP浴槽塗装事例については、下記をご参考にしてみて下さい。
FRP塗装後のメンテナンスと寿命延長
ケアのタイプ | 方法 | 詳細 |
---|---|---|
塗装後の初期メンテナンス | 完全な乾燥 | 塗装後、指定された時間(1日〜2日)は浴槽の使用を避け、完全に乾燥させる。 |
表面の検査 | 塗装後の表面に不均一な箇所や傷がないか確認する。 | |
日常の清掃 | 柔らかいスポンジの使用 | 硬いブラシではなく、柔らかいスポンジや布を使って優しく清掃する。 |
中性洗剤の使用 | 強い酸性やアルカリ性の洗剤は避け、中性洗剤を使用する。おすすめは、「ウタマロ」の洗剤です。 | |
定期的なチェック | 表面の点検 | 定期的に浴槽の表面をチェックし、小さな傷や剥がれがないか確認する。 |
塗装の更新 | 小さな剥がれ等があれば、部分的な補修や塗り直しを行う。 | |
適切な使用 | 熱水を避ける | 極端に熱い水を避けることで、塗装表面の劣化を防ぐ。 |
化学薬品の使用制限 | 浴槽内での化学薬品の使用を避ける。 | |
環境の管理 | 適切な換気 | 浴槽を使用後は適切に換気し、湿気やカビの発生を防ぐ。 |
浴槽塗装後のメンテナンスとして、気をつけたいポイントとして極端な熱水使用を避け、できる限り清掃時には中性洗剤を利用することです。おすすめの洗剤は、ウタマロです。また、ブラシも硬いものではなく、柔らかいブラシやスポンジを使用して清掃をします。
シャワーヘッドなども塩素除去などに特化したものに交換することもおすすめです。おすすめシャワーヘッドはミラブルです。
こうした小さな心掛け次第で、浴槽塗装後の寿命を長くすることが可能です。
まとめ
今回は、FRP浴槽塗装の利点や費用、浴槽塗装専門店の選び方を見てきました。まずは、お住まいの住宅の浴槽の状態を把握し、状態に応じた適切な方法で対応ができるよう現状把握をします。に
それから、複数の業者(浴槽塗装とリフォーム会社)からお見積りをとり比較検討をすると、ベストな方法が見つかるのでおすすめです。