DIYでユニットバスの塗装を行う際には、自分で行える範囲と専門家に任せるべき部分を見分けることが重要です。

今回は、ユニットバスの寿命や劣化原因から、DIYでの塗装や補修が行えるおすすめ範囲とおすすめ塗料をご紹介しています。また業者に依頼するときのポイントも合わせて確認しておきましょう。

井上保
一級塗装技能士

10年以上にわたり、多くの方々から浴槽の塗り替えについての相談を受けてきました。多くの方が、「新品に交換するよりも、現在の家を大事にしたい」とおっしゃいます。そのような貴重なご意見は、私たちのサービス精神にも深く響いています。浴槽塗装を専門とする私たちは、お客様の期待に応えるため、技術の進歩に常に取り組んできました。目指すは、より多くのお客様に満足と喜びを提供すること。お客様一人ひとりとの深いつながりを価値あるものと考えています。

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ユニットバスとは

ユニットバスとは、浴槽とシャワー、洗面台、そして多くの場合トイレを含む一体型の浴室のことを指します。

要は「一体型の浴室セット」のようなものです。普通の家庭で使われる浴槽、シャワー、洗面台、そして時にはトイレも)がすべて一つにまとめられています。

これらの部品は工場であらかじめ組み立てられ、住宅やアパートに設置される時には一つの大きなセットとして運ばれてきます。

例えるならば、ユニットバスは「バスルームのキット」のようなもので、必要なすべてが一つになっていて、設置するのに別々に部品を組み立てる必要がありません。これは特にスペースが限られている場所や、建設コストや時間を節約したい場合に使用されます。

ユニットバスと聞いて、トイレが含まれている浴室のことをイメージする方がいますが、浴室設置のコストを抑えた浴室のタイプの一種です。一般的にはアパートメントやホテルに設置する場合はトイレを含むタイプも多くあります。、一方で、一般住宅では、浴室とトイレは別々設置するタイプのユニットバスが採用されることが多いです。

ユニットバス寿命について

ユニットバスの平均寿命は一般的に10年から15年とされています。しかし、これはあくまで目安であり、使用頻度やメンテナンスの質、製品の品質によって大きく変わることがあります。

適切なケアを行えば、20年以上使用することも珍しくありません。実際、ユニットバスの法定耐用年数は木造住宅用の建物と同様の22年とされています。

ただ、現実問題ユニットバスは湿気やカビなどの影響を受けやすい構造なため、コーキングの経年劣化が早く実態は長くても15年程度の耐用年数が妥当でしょう。


ユニットバスは建物内の部屋の一つと位置付けられるため、器具及び備品に該当しない。
木造住宅の「建物」の耐用年数は22年。

参照url:https://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0204050400.html
参照url:https://www.keisan.nta.go.jp/h30yokuaru/aoiroshinkoku/hitsuyokeihi/genkashokyakuhi/taiyonensutatemono.html
寿命が近づいたサイン説明・詳細
カビや黒ずみの悪化長期間のカビや黒ずみが取り除きにくくなり、清掃だけでは対処できない状態になる。
排水の流れの悪化排水口の流れが遅くなり、詰まりやすくなる。
これは配管の老朽化や損傷が原因の可能性がある。
浴槽や壁のひび割れ、変色浴槽の表面や壁にひびが入ったり、変色が目立つようになる。
材質の劣化や構造的な問題を示唆している。
コーキングの劣化コーキング材が硬化、剥がれ、または黒ずんでくる。
水漏れのリスクが高まる。
異常な音や臭い浴室の使用中に異常な音がする、または不快な臭いがする。
配管や構造部分の問題が考えられる。
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これらのサインが見られた場合、ユニットバスの修理や交換を検討する必要があります。早期の対応が、さらなる問題の発生を防ぐために重要です。

特に、気をつけたいのがユニットバスのコーキング寿命は10年程度な点です。ユニットバスの浴室は湿度が高く、カビが出やすいためコーキングにもカビがこびりついてしまう可能性が高いです。

ユニットバスを20年近く使用するためには、まずはコーキングのメンテナンスが重要です。コーキングはユニットバスの壁の劣化や浴室パネルの劣化にもダイレクトにつながるため、コーキングの劣化には注意が必要です。

ユニットバス塗装費用とは?

項目費用の目安詳細・備考
基本塗装費用10万円~30万円ユニットバスのサイズや塗装範囲、使用する塗料の種類によって変動。
高品質塗料へのアップグレード+5万円~10万円耐久性や特殊機能(防カビ、耐熱など)を備えた高品質塗料を選択する場合。
下地処理費用+1万円~5万円既存の塗膜の除去、表面の清掃・研磨などの下地処理が必要な場合。
補修作業費用+1万円~10万円ひび割れや穴などの補修が必要な場合。
補修の範囲によって費用は大きく変わる。
追加オプション変動防滑処理、保温効果の向上など、追加のオプションを選択する場合。
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上記の費用はあくまで目安です。実際の費用は業者や地域、ユニットバスの状態によって異なります。

複数の業者から見積もりを取ることで、最適なサービスと価格を比較検討できます。

塗装工事は、ユニットバスの寿命を延ばし、見た目を新しく保つ効果がありますが、費用と効果を総合的に考慮して決定することが重要です。

ユニットバス天井の塗装やコーキングも交換とう、まとめて浴室塗装を行うと20万円から30万円が相場になります。

ユニットバス塗装 DIYは可能か?

ユニットバス塗装をDIYで行う時は、まずトイレ、浴槽、床塗装のどこをDIYするべきかどうかを決めます。

おすすめは、コーキング等の補修とユニットバスの床だけをDIYで塗装するケースです。

もし、トイレや浴槽塗装もきれいに補修したい場合は、ユニットバス塗装は難易度が高いため専門業者に依頼する方が中長期的に考えた時は最適です。

理由は、トイレや浴槽の下処理に特殊な工具や技術が必要で、下地調整と下地補修を間違えてしまうと塗装剥げなどの問題に発展してしまうためです。

ユニットバス床塗装DIY手順

まずは、ユニットバス床塗装のDIYに必要な材料と手順を説明します。

ユニットバスの補修で重要なコーキングの補修に関して、コーキング材だけでの対応は早く剥がれる可能性があるため、エポキシパテでの補修後にシリコンコーキングを薄くコーティングすることがポイントです。

エポキシパテは二種類の粘土が混ざっており、硬化すると高い強度を発揮するので、浴槽補修には欠かせない道具になります。

必要な材料

  1. 専用塗料
    • ユニットバス床用の耐水性・防滑性に優れた塗料。例えば、エポキシ樹脂塗料やアクリルウレタン樹脂塗料などがおすすめです。
  2. プライマー(下塗り材)
    • 塗料の密着を良くするためのプライマー。床用のものを選びます。
  3. コーキング器具(コーキング材:シリコーンシーラント※浴槽の色に合う、コーキングガン、カッターまたは専用の除去ツール、エポキシパテ:セメダインの水中用エポキシパテがおすすめ、クリーニング材料等)
  4. 清掃用品
    • 洗剤、スポンジ、ブラシ、クロスなど。
  5. サンディング用品
    • サンドペーパーやサンディングブロック。
  6. マスキングテープ
    • 塗装しない部分を保護するため。
  7. 塗装用具
    • ローラー、ブラシ、塗装トレイ。
  8. 保護用品
    • 手袋、ゴーグル、マスク。
  9. 滑り止め材料(オプション):
    • ゾルピタ:一液塗布型水性滑り止め剤(FRPやタイル床に適しています)

ユニットバス塗装手順

  1. 準備
    • ユニットバス内の物を取り除き、作業スペースを確保します。
    • 換気を良くするために窓を開け、換気扇を回します。
    • 古いコーキング材を完全に除去します。カッターや専用の除去ツールを使って古いコーキングを剥がし、残りの材料をきれいに取り除きます
  2. 清掃
    • 洗剤とスポンジを使用して、床を徹底的に清掃します。
    • カビや脂汚れを完全に取り除きます。
  3. サンディング
    • サンドペーパーで床の表面を軽く研磨します。
    • 表面のザラつきを取り、新しい塗料の密着を良くします。
  4. マスキング
    • 塗装しない部分(排水口周辺、壁際など)にマスキングテープを貼ります。
  5. プライマー塗装
    • プライマーを均一に塗り、十分に乾燥させます。
  6. 本塗装
    • ローラーやブラシを使用して、塗料を均一に塗ります。滑り止め粒子を使用する場合は、この段階で混ぜます。
    • 必要に応じて2~3回重ね塗りし、各層を十分に乾燥させます。
  7. 仕上げ
    • 全ての塗料が乾燥したら、マスキングテープを丁寧に剥がします。
    • 最終的な清掃を行い、整理整頓します。

注意点

  • コーキングも合わせて新しいものに交換する場合は最初に古いコーキングを剥がします。
  • 床用の塗料を選ぶ際は、特に防滑性と耐水性に優れたものを選びましょう。
  • 作業中は常に換気を心がけ、適切な保護具を着用してください。
  • プライマーと塗料は床用のものを選び、メーカーの指示に従って使用してください。
  • 乾燥時間は気温や湿度によって異なるため、メーカーの推奨する時間を守ってください。

ユニットバス塗装に適した塗料とは

塗料の種類耐水性耐熱性耐カビ性耐摩耗性適用理由
エポキシ樹脂塗料高い高い高い高い湿度や高温の多いユニットバスに最適な理由は、その優れた耐水性、耐熱性、そして耐カビ性にあります。
ウレタン樹脂塗料高い中~高中~高高い柔軟性と耐水性があり、さらに耐熱性も備えています。耐摩耗性も高く、長期にわたる使用にも適応する特性を有しています。
アクリル樹脂塗料水性で扱いやすく、比較的耐水性がある。低臭で環境に優しいが、耐久性はエポキシやウレタンに劣る。
シリコン樹脂塗料高い高い高い中~高高い耐水性と耐熱性を持ち、カビにも強い。しかし、耐摩耗性は他の塗料に比べてやや劣る場合がある。
アクリルウレタン樹脂塗料高い中~高中~高高いアクリルの環境に優しい特性とウレタンの耐久性を兼ね備えており、ユニットバスに適している。
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基本的にユニットバスの塗料はアクリル樹脂塗料もしくは、エポキシ樹脂塗料のどちらかがおすすめです。

それぞれ詳しい特徴を見ていきましょう。

エポキシ樹脂塗料の特徴

  • 非常に高い耐水性と耐熱性を持ち、特に湿度の高い環境や水に直接触れる場所に適しています。
  • 耐カビ性が高く、長期間にわたってカビの発生を防ぐことができます。
  • 硬化後は非常に硬い塗膜を形成するため、耐摩耗性に優れていますが、その分柔軟性には欠ける場合があります。
  • 有機溶剤を使用するタイプが多く、環境への影響や施工時の注意が必要です。

エポキシ樹脂塗料は、その耐久性と耐水性に優れているため、特に厳しい環境や長期間の耐久性が求められる場合に適しています。特に湿気などの経年劣化を受けやすいユニットバス塗装は塗装剥げを起きやすいので、長期間の耐久性を大事にする方はエポキシ樹脂塗料がおすすめです。

アクリルウレタン樹脂塗料の特徴

  • 耐水性、耐熱性、耐カビ性はエポキシに劣るものの、一般的なユニットバスの使用環境には十分な性能を持っています。
  • ウレタン樹脂の柔軟性により、塗膜が割れにくく、長期間の使用に耐えることができます。
  • 多くが水性で、環境に優しく、施工も比較的容易です。

アクリルウレタン樹脂塗料はアクリル樹脂の使いやすさとウレタン樹脂の強度を併せ持ち、ユニットバスのような湿度の高い環境に適しています。

また、耐摩耗性にも優れているため、長期間の使用に耐えることができます。加えて、温度変化による物理的なストレスに耐え、割れたり剥がれたりしにくいです。

アクリルウレタン樹脂塗料は柔軟性がある塗料です。柔軟性があるとは、下記の3点の特徴を有しているという意味です。

  • 温度変化によるストレスに耐え割れたり剥がれにくい
  • 衝撃によるダメージも受けにくい
  • 微小な動きに対しても塗膜が割れにく。

建物は時間の経過とともに自然に沈下したり、地震などで微妙に動いたりします。これにより、浴室の壁や床にも微小な動きが生じることがあります。柔軟性の高い塗料は、これらの微小な動きに対しても塗膜が割れにくく、密着性を保ち続けることができます。

アクリルウレタン樹脂塗料は、施工のしやすさと環境への優しさを重視する場合、または柔軟性が求められる場合に適しています。選択はユニットバスの使用状況や、施工者の技術、環境への配慮などを考慮して決定することが重要です。

ユニットバス塗装専門店の選び方

選定基準詳細説明
経験と専門性ユニットバス塗装の経験が豊富で、専門的な知識を持つ業者を選ぶ。
過去の実績と評判過去の施工の成功例、顧客のレビューや評価を確認する。
サービスの範囲塗装だけでなく、下地処理、後処理、保証の有無など、提供されるサービスの全範囲を確認する。
見積もりの明確さ費用の内訳が詳細で、追加料金がないかどうかを確認する。
コミュニケーション能力要望を理解し、質問に明確に答える業者を選ぶ。
使用材料の品質使用される塗料や材料の品質を確認し、高品質なものを使用している業者を選ぶ。
アフターサービスと保証作業後のフォローアップや保証の有無を確認する。
ライセンスと保険適切な国家資格等を持ち、保険に加入している業者を選ぶ。
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まず、浴槽塗装や浴室塗装を専門に扱う業者が前提です。

ユニットバス塗装は屋根や外壁塗装とは全く必要となる技術は異なります。外壁塗装業者に依頼すると、塗装剥げや仕上がりが満足いくものでなくなる可能性があります。なので、大前提は浴室塗装の専門業者に依頼する方が良いでしょう。

ユニットバス塗装を専門業者に依頼するときにポイントなのが、見積りの明確さと保証有無です。

ユニットバスはトイレと浴槽が一室にある関係上、追加料金がかかりやすい特徴があります。

後々、追加で費用がかかるのかどうかについて、事前に確認が取れる業者がおすすめです。

そして、施工完了後の保証が3年以上あるかどうかです。浴室や浴槽塗装は2年から3年程度で塗装はげを引き起こす可能性が高く、しっかりとした保証プランがあるかどうかを確認しましょう。

ユニットバスのメンテナンスについて

メンテナンス項目詳細説明実施頻度・注意点
定期的な清掃・浴槽、床、排水口、シャワーヘッド、追い焚き配管の清掃毎日実施。
清掃の程度がユニットバスの寿命に影響。
カビ対策・浴槽の蓋をする
・入浴後にお湯を抜く
・壁や天井の水滴を拭き取る
入浴後に実施。湿度管理がカビ予防の鍵。
カビ発生時は迅速な清掃が必要。
コーキングの維持・コーキング部分の定期的な清掃と点検
・劣化が目立った場合の打ち直し
定期的に実施。約10年で劣化し始めるため、早めの対応が必要。プロに依頼することを推奨。
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毎日の掃除 ユニットバスのメンテナンスで最も簡単で重要なのが、毎日の掃除です。

掃除といっても、どの程度行えば良いかは人それぞれです。

毎日の掃除では浴槽の中や床を簡単に流すだけという方もいれば、排水口やシャワーヘッド、追い焚きの配管などもこまめに掃除しているという方もいるでしょう。

どの程度きちんと掃除をしているかは、ユニットバスの寿命にも関わってきます。例えば、排水口にゴミが溜まったままになっていると、雑菌が繁殖しやすくなり、においや排水口のひび割れの原因になります。こまめな掃除が、10年後のユニットバスの状況に影響を大きく与えます。

カビを発生させないために、浴槽にお湯を溜めっぱなしにしている方や、浴槽の蓋を使わない方は注意が必要です。

こうした行為は浴槽の湿度を上げて、カビの発生リスクを高める行為です。 ユニットバスにカビを発生させないためには、お風呂を沸かす際に浴槽に蓋をすることや、家族の入浴が終わったら、毎回お湯を抜くことが大切です。

また、最後の入浴後や掃除の後は、浴室の壁面や天井についた水滴を拭き取りましょう。ここまでするのは少し大変かと思いますが、清潔に保つためには大切なポイントです。

浴室内を水浸しにしておかずに、湿度をできる限り抑えることが、カビを発生させないポイントです。 また、万が一カビが出てしまったら、広がる前にすぐ掃除するようにしてください。

浴室のパネルの継ぎ目や角に施される「コーキング」というパテのメンテナンスが大切です。

よくタイル張りの壁の継ぎ目に張られる白い線状のパテです。

コーキングはこまめに掃除をしていてもカビが発生してしまうことがある上に、そのカビを除去するのも困難です。ユニットバスは湿度が高くなりがちなので、頑固なカビがコーキングにこびりつくことがよくあります。

カビキラー等でもなかなか落ちない場合が多いので、掃除で落ちない場合はコーキングの打ち直しを検討しましょう。

これは、自分で行うこともできますが、継ぎ目ピッタリに施すのは相当技術が必要なので、プロに依頼するのがおすすめです。

まとめ

今回は、ユニットバス塗装に関してまとめてみました。ユニットバス塗装は賃貸物件のオーナーの方のご依頼が多い関係上、DIYでユニットバス塗装を行う予定の方も多いです。

しかし、中長期的に考えると専門の業者に依頼した方が費用対効果が高いことが多いので、一度信頼できる浴室専門業者に相談することをおすすめします。