洗面台塗装は掃除では綺麗にできないケースでも、新品同様に補修できる点が最大のメリットです。
一方で、洗面台塗装の仕上がりは専門的な技術と経験に大きく依存します。
特に、元の洗面台のデザインに戻す場合、均一な仕上がりに補修し塗装することは難しいです。また、水回りの塗装には、エポキシ樹脂塗料を使いますが、適切な下地処理から塗布方法まで、細心の注意を要します。
当記事のガイドでは、洗面台塗装にとって重要な点の2液性エポキシ塗料の選び方から、キレイに塗るコツまで、実践的な専門家の技を解説します。
洗面台塗装のメリット・デメリット
洗面台塗装は、洗面台の交換に比べて大幅にコストを抑えられる上、廃棄物の削減にもつながります。エポキシ樹脂やウレタン樹脂塗料を使えば、耐久性とカスタマイズ性を兼ね備え、自分だけの空間にコーディネートが可能です。
メリット
- コスト効率と環境配慮
- 洗面台を塗装することで、全体を交換する場合の約1/3〜1/2のコストで済みます。加えて、廃棄物を減らし資源の再利用を促進することで、環境への影響を最小限に抑えることができます。
- カスタマイズ性
- エポキシ樹脂塗料やウレタン樹脂塗料を使用することで、耐久性(耐水性、耐薬品性、耐摩耗性)を向上させます。また、デザインや色もカスタマイズ可能なので、洗面台の見た目や雰囲気を自分好みにカスタマイズできます。
- 耐久性と機能性の向上
- 上述した塗料の塗布により、洗面台の表面を強化できます。これにより、日々の使用による摩耗、水濡れ、化学薬品から保護します。特に、エポキシ樹脂塗料は硬化後に非常に硬い仕上がりとなり、長期間の耐久性を実現可能です。
デメリット
洗面台塗装で適切な補修と塗装をして、長く使える洗面台にするためには専門的な技術と経験が必要です。
特に、均一な仕上がりを求める場合や、高品質なエポキシ樹脂塗料の使用では、適切な下地処理から塗布方法まで、細心の注意を要します。
- 専門的な技術と経験の必要性
- 高品質な仕上がりを実現するには、塗料の選定から下地処理、均一な塗布に至るまで、専門的な技術と経験が必要です。特に、エポキシ樹脂塗料は扱いが難しく、適切な環境と技術がないとムラや剥がれの原因になり得ます。
- 時間と労力がかかる
- 洗面台塗装に必要な材料の入手、塗料の管理、塗装プロセスなど複数のステップにわたります。また、適切な乾燥時間を含めると作業時間に1日は要します。DIYとして取り組む場合、労力は大きな負担となります。
- 塗装後のメンテナンス
- 高品質な塗料を使用しても、定期的なメンテナンスは避けられません。表面のクリーニングや、細かな傷の修復は、美観と機能性を維持するために必要です。
洗面台リフォームと洗面台塗装の比較
項目 | 洗面台交換 | 洗面台塗装 |
---|---|---|
費用 | 15万円〜30万円前後 | 3万円〜5万円 |
耐久性 | 高 (新品のため) | 中〜高 (塗装材の質による) |
時間 | 数日から1週間 | 短い (即日〜2日で完了) |
カスタマイズ性 | 限定的 (市販の製品に依存) | 高い (色や仕上がりのカスタマイズが可能) |
環境への影響 | 中〜高 (古い洗面台の廃棄問題) | 低 (既存のものを利用) |
全体的な印象 | 全くの新品なので綺麗 | 表面的な補修に限られる |
洗面台の交換は、既存のものが大きく損傷している場合に最適です。費用は高めですが、10万円前後から30万円程度で、作業は数日から1週間程度かかります。
一方、洗面台塗装はコストを抑え、見た目を一新したい場合に適しており、数万円からの出費で即日〜2日程度で完成します。
部分的な経年劣化による見た目の悪さ等を補修したい方は、洗面台塗装が最適な方法です。一方で、大きく損傷しており、明らかに塗装ではどうにもならないレベルの損傷やサビ等の状態であれば交換をおすすめします。
洗面台塗装DIYのステップ
洗面台塗装のDIYステップとしては主に下記の流れが基本となります。
洗面台と周囲を清掃し水気を取ります。塗装エリアをマスキングテープで保護します。
サンドペーパーもしくは研磨器で表面を研磨し、塗装の密着を向上させます。
塗料の密着をさらに良くするため、プライマーを薄く塗ります。プライマー塗布をしたら乾燥をさせます。プライマー塗布&乾燥を繰り返します。
選んだ塗料を数層にわたって均等に塗り重ねます。
最終的なクリア仕上げ(トップコート)を塗って、表面を保護と光沢感やぼかしを施します。
基本的には、浴槽塗装と同様の手順で洗面台塗装は行います。特に大事な工程は、下地処理とプライマー塗布です。この処理を念入りに行うことで、仕上がり満足度は大きく異なります。
ポイントは水気と脱脂処理を徹底的に行うことです。
基本的には、洗面台塗装は難易度が高いです。洗面台の元の外観を保ちながら塗装する場合、補修した跡が目立たないように仕上げるために専門技術が必要です。初心者の方には、洗面台の元の魅力を損なわずにキレイな外観に仕上げるのは難しいと思います。
全体的な印象を変える全塗装の場合、既存の部屋とマッチした色合いにすることは難しいです。こうした仕上作業には、高い技術を必要とします。
洗面台塗装に必要な塗料の選び方
エポキシ塗料
- 特性: 水や化学物質に対する強い耐性があり、硬化後は非常に硬い表面を形成します。このため、食品工場や病院など、衛生環境が必要な場所に適しています。また、優れた接着性を持ち、多くの材質に対して強固な仕上がりになります。
- 利点: 耐水性と耐化学性に優れているため、洗面台の表面を水や洗剤、化粧品などの化学物質から保護します。硬化後の強度も非常に高いため、表面の傷や損傷に高い耐久性があります。
ウレタン樹脂塗料
- 特性: 耐久性に優れ、紫外線による色あせや劣化が少ないのが特徴です。また、柔軟性があり、温度変化による伸縮を吸収する能力が高いため、割れにくいです。
- 利点: 長期間にわたって美観を維持できるため、洗面台のリフォームや塗り替えに最適です。また、伸縮性があるため、微細なひび割れから洗面台を守り、水漏れのリスクを低減します。
アクリル樹脂塗料
- 特性: 速乾性があり、施工後すぐに硬化し始めるため、作業時間を短縮できます。また、色の種類が豊富で、高い光沢感を持つものが多いです。
- 利点: 豊富な色彩から選べるため、洗面台を個性的なデザインのアクセントとして活用することができます。
おすすめ塗料をプロに聞くと、多くの場合、2液性のエポキシ塗料をおすすめします。なぜなら、エポキシ塗料は硬化すると非常に強固な保護層を形成し、水や化学薬品、物理的な摩耗から表面を守ることができます。これにより、湿度の高い環境や水を頻繁に使用する場所での使用に最適で、長期間にわたる耐久性を発揮します。
しかし、こうした速乾性と強固な保護槽をもつ塗料は、すぐに乾き固くなってしまうため作業性に影響を与えます。つまり、早く固まってしまうので、塗装のムラが出て、素人が塗布とすると浴槽の肌触りが悪くなります。
長期的な使用が可能になるメリットがある一方で、塗装の難易度が高くなる傾向にあります。DIYで使用する時は十分に注意しましょう。
洗面台クリーニングとメンテナンス
おすすめ洗剤は「ウタマロ」です。アミノ酸系洗剤は、その穏やかな洗浄力により塗装された洗面台のメンテナンスに適しています。これらの洗剤は弱酸性であり、塗装面を傷めることなく汚れを効果的に除去できます。また、環境に優しく、人体にも安全なため、日常のクリーニングに最適です。
洗面台塗装後のメンテナンスに使用する洗剤の安全性を確認するために、ウタマロを長期間にわたるテストを実施し、その使用に問題がないことを確かめましたので、おすすめの洗剤です。
塗装後の洗面台メンテナンスでは、キレイな状態を維持するために、日常的なクリーニングと定期的なチェックが大切です。
まず、柔らかい布やスポンジを使って優しく表面を拭き、強い化学薬品は避け、中性洗剤やアミノ酸系の洗剤を推奨します。また、塗装面に細かな傷が見つかった場合は、早めに専門の塗料で修正し、水はけの良い状態を保つことも意識しましょう。
プロによる洗面ボウル塗装の実例紹介
プロの塗装職人が行う洗面台塗装の工程をご紹介します。
今回は、ホテルやマンションにも使用されている人工大理石の洗面ボウルの修復です。人工大理石の洗面ボウルは経年劣化すると、イボイボが出てきたり変色したりすることがあります。
上の写真のように、修復箇所が分かりにくくするための仕上には特殊な技術が必要です。まず、洗面ボウルの変色やへこみを直すために、パテを使い傷を埋めます。
プライマー(下塗り材)を薄く塗り、これによって塗装の下地を整えます。ポイントは、何度も重ねてプライマー塗布を繰り返すことです。乾燥をしっかりさせて、何度かプライマー塗布をすることで、仕上げ塗料が剥がれにくくなります。
次にサーフェーサーを使用して洗面台の表面を滑らかにします。サーフェーサーとは、塗装の前に塗る下地材の一種で、表面を滑らかにし、さらに塗料の密着を良くする役割があります。
最後に、人工大理石特有の模様を細かく描き加える技術が要求されます。この過程では、色を自然に見せるために、色を混ぜたりぼかしたりする技巧が重要です。これらのステップを通じて、洗面台をもとの美しい状態に復元することができます。
まとめ
洗面台塗装は、コスト効率の良さ、環境への優しさ、カスタマイズの自由度を提供し、耐久性と機能性を向上させます。
しかし、満足のいく仕上がりには専門的な技術、時間への投資、そして継続的なメンテナンスが大切です。適切な塗料の選択から丁寧な下地処理、均一な塗布技術に至るまで、細部にわたる注意が必要です。